ATS造家設計事務所

建築と椅子 その4

15年ほど前の自作の椅子です。
すべて1本の100mm角の柱材から造りました。
着色は、リートフェルト仕立て。
座面の背の部分は90°なので、この椅子を4脚合わせると
四角いラウンジチェアーにもなるという考えでした。

時間をかけてきちんと寸法取りをし、ホゾの雄雌を正確に刻みましたので、美しい仕上がりを頭の隅に描きながら、自信満々で組み立てましたが、きちんと合いません。
なぜだかお分かりでしょうか?

 
leg.chair.jpg

この時から、私の設計が少し変わりました。

寺院建築などで、木割から追っていくと、コンマ何ミリ という寸法を
当たり前のように設計図に書き込んでいましたが、そういったことをやらなくなりました。

そんな単位まで図面に書くという行為は、設計者の気構えを感じてもらうという点で無意味ではないと思いますが、現場で作る建築には、現実味の無い単位だと、気がつきました。


そしてこの椅子の座り心地は、背骨に柱がゴリゴリあたって、最悪です。