ATS造家設計事務所

寺院建築の屋根

大津にある園城寺(三井寺)は、桜や紅葉がきれいですが、金堂の檜皮葺き屋根も美しいと思います。
建物正面から少し離れてご覧ください。
あの大きなスケールの屋根をなんと かろやかに、そして流麗にみせていることでしょう。
少し高い位置に取り付けられた高欄も良いバランスです。
時代を超えた棟梁の、デザイナーとしての力量に敬服するばかりです。

 

 

破風.jpg

写真は、ある寺院の本堂屋根瓦葺きの葺き始めです。
いろんな場所で曲率の違う反りがあり、また構造材を収めるためにできた段差があり、四隅は反った上にはね上がり、というように直線のまったく無い屋根を下地材で微妙に調整し、美しく納めていきます。
瓦も本体の材木と同様に原寸図を描いて棟梁とともに検討しますが、細かなところは職人さんの腕が活きます。

設計図面を描くにあたっても屋根の形、勾配、納まりが決まれば、ほぼできあがり。
社寺建築は、屋根の建築といっても過言ではないと思います。

 

拝み巴.jpg
拝み巴瓦という、屋根の最上部に置かれる本掛瓦です。
高く持ち上げ、破風に勢いをつけます。
破風板の合わせには少し隙間が空いてますが、時間の経過とともに密着していきます。