ATS造家設計事務所

長岡京市 蓑甲(みのこう)の家  完成です。

建物の概要は、木造地下1階地上2階 延べ面積168.24㎡。
半地下のガレージをコンクリート打放しとし、室内は、敷地の高低差を利用したスキップフロアにして生活空間を心地よく繋いでいます。

蓑甲とは、切妻・入母屋屋根で、屋根と破風のギャップを調整するための曲面部分のことで、
昔の雨具である蓑を被った背中のような形状から、このように名付けらています。

日本建築には、外観デザインを形作るための、様々な伝統的な手法があります。
数寄屋や社寺建築にみられる手法を現代建築に引継ぎ、幾重にも重なった屋根を美しく見せています。

 

 

スチール製門扉は、亜鉛メッキ+リン酸処理。
杉の化粧型枠で木目を映した、コンクリート打放しの塀とよく合います。
床は、黒御影石のピンコロ石を敷き詰めています。

 

 

 

リビングの大階段から中2階のダイニングキッチンを見る。
床材は熱処理を施したアッシュの無垢板です。150mmの幅広ですが、床暖房にも対応しています。

壁・天井は珪藻土塗り。
屋根勾配そのままの高い天井は、構造材の梁をナラの無垢化粧材で包んでいます。

 

 

 

 

奥にある和室とリビングは、天井までの建具で仕切ることができます。
床材と同じ150mm幅広の桐無垢材を 天井に貼りました。

 

間仕切り代わりの引き戸を引き込めば、スキップフロアで繋がった各空間が一つになり、
高低差のある大きなスペースになります。
建物の端から端までを見渡すことができ、デッキを通して屋外の庭へと視線が通ります。
各部屋には光が溢れ、温度や気圧の差によって風もよく抜けます。

 

 

 

 

 

2階和室
壁・天井に越前和紙を貼っています。
真竹の床柱の色に合わせて、床地板は黒谷和紙で包みました。
着色をして柿渋を塗り、表面を荒らした上にオスモカラーを塗っています。
地板の和紙は、以前 福知山の海眼寺改修工事でお世話になった、綾部の和紙職人ハタノワタルさんにお願いしました。

 

 

2階個室A
天井をアールにして、照明を仕込んでいます。
間接照明にすると左官仕上げの凹凸がよくわかり、夜間には手仕事の跡が残った、一味違う表情の仕上がり感になります。

 

 

2階寝室B
個室Aと同じく天井に照明を仕込んでいますが、こちらは山型の船底天井です。
巾木は少し高い目にして、床材と同じアッシュを貼りました。

 

 

 

 

玄関建具は木製で、ドアクローザーを内蔵しています。
ナラの無垢材にナグリ仕上げを施し、オスモカラーを塗装しました。
右手にあるのは造付けの下足箱で、底板に照明を仕込んであります。

 

トイレ・洗面室
床はサーモタイル、家具や建具は壁の珪藻土色に合わせて「白」で統一しています。

 

 

 

 

リビングに面したデッキテラス
デッキ材はセランガンバツです。
床の高さを室内と同じレベルにするのはもちろん、張り方向も揃えると屋内外に一体感がでます。

 

 

 

屋根はチタン葺き、外壁は火山灰を原料とした、左官仕上げです。