鞍馬の火祭りを例祭としている由岐神社の本殿は、江戸時代末期の建立です。
神社建築には、さまざまな様式があり、時代とともに屋根のかけ方などが複雑になります。
この本殿は「流れ造り」で、変遷初期のシンプルで綺麗な形状が残っています。
本来ならば、そのままのカタチが美しいとは思いますが、
部材の劣化、ご祈祷スペースの確保や悪天候時の対応なども考慮しなければならず、
増築や内部修復の計画を進めることになりました。
境内には国指定重要文化財の拝殿(1607年建立)や石造狛犬、京都市指定天然記念物の大杉など、
見どころがたくさんあります。
鞍馬寺の参道にありますので、ぜひ訪れてみてください。
拝殿(国指定重要文化財)
御神木の大杉(京都市指定天然記念物)
野太い幹・縦横に枝を張った屋久島の杉は底知れぬ力強さを感じますが、私、この大杉の真っ直ぐに聳える佇まいが好きです。
計画立面図
矩計詳細図
わずかな面積の増築ですが、さまざまな法律・条例の許可や開発関係の申請が必要で、
確認申請が下りるまで約1年かかりました。(-_-;)
図面を描いたり現場へ行ったり、建築家の仕事は色々ありますが、この許認可業務だけは好きになれません・・・。