ATS造家設計事務所

臨済宗南禅寺派 海眼寺 書院   完成です

築40年弱の古い建物ですが設計図がきちんと残っていましたので、正確なリフォーム設計ができました。
一般的な改装工事では、仕上げをめくると予想外の構造に落胆することが多く、補強のために手間と費用がかかってしまいます。
既存建物との取合いなど微調整はありましたが、今回は設計図通りの補強で対応できました。
基礎・耐震壁・軸組を現在の構造基準にすることで、建物を安心して使い続けることができます。

構造安全性を確保した上で、外観や室内空間を美しく整えるのが私たち建築家の仕事です。

 

 

檀家さんが集まる書院の広間
吊床形式の床の間を設けていますが、広縁とともにヒノキの無垢板を床材としています。
和室のような、洋室のような、でもシンプルでスッキリとした空間です。

壁・天井は左官仕上げ
床の間の棚板は、庫裏の書院に使われていた天板を再利用しています。
様々な展示スペースとしても使えるように、ピクチャーレールとダウンスポットライトを仕込んであります。

写真左側の独立柱は、元々あった四角い柱に台形の無垢材を4つ貼り付け、八角形の化粧柱にしています。
寸法は大きくなりますが、細工を凝らした印象深い柱になりました。

 

 

4枚建具を壁から引き出すと雪見ガラス戸になります。

 

スリガラスは障子のように光を拡散し、脚元の見せたい部分だけ庭を切り取ります。

 

 

 

主照明は、天井を照らす間接照明です。

 

 

 

広縁の天井を掘り込んで、照明器具とプリーツスクリンを収めます。

 

 

既存庫裏越しの外観 

外観は「そとん壁」というシラスが原料の左官材を塗り直しました。

少し高価な仕上材ですが、軽くて断熱性があり、ひび割れもほぼありません。