鉄筋コンクリート造2階建て 延べ面積:380.53㎡
建物の耐久性や地震への備えのため、ご住職は、設計当初から鉄筋コンクリート造での建築を強く希望されました。
内外部とも日本建築の様式を踏襲していますので、柱の無い壁式構造を採用してコンクリートの箱状構造体の中に本格的な木造の造作を施しています。
外観
越屋根の付いた大屋根は瓦葺き、唐破風を模して緩いアールを付けた庇には銅板を葺いています。
白壁はフッ素樹脂塗装、腰板は杉杢化粧型枠打ち放し仕上げ。
メンテナンスのしにくい外部の格子には150×50mmの人工木材を使用しています。
書院は、広間にも大炉を切り、さまざまな茶会や檀家さんの集まりに対応することができます。
床柱は、以前の庫裏で使われていた松梁の丸太材を加工、地板・床框は欅。
右手は、四畳半茶室の屋久杉障子。
竿縁天井の一部を照明天井とし、蟻壁という手法で天井が浮いているような細工を施してあります。
仏間十畳
柱、長押、地板等の造作材は檜、 天井板は、杉中杢材。
小さいながらも本格的な水屋も備えた4.5畳の茶室は、屋久杉で材を揃え、要所に煤竹を用いて趣向を凝らした設いとしています。
水屋
奥行きの浅い水屋ですが、収納・茶事の準備に十分な棚を備えています。
茶室から広間を見る
寺務所
寺院では、ものを書く仕事が多いため、広い作業スペースのあるカウンターを造り付けています。
この建物では、住職が永年に渡って入手、保管されていた銘木を再利用しています。
その中の一部をご紹介します。
玄関ホールと廊下に敷いた、幅広の欅。
厚みもありますので。踏み心地と足音の響きは重厚かつ上品です。
屋久杉の地板と床框。
木目が面白い、檜の天板
屋久杉の天井板。
屋久杉の障子。
檜一枚板の建具(右)と杉中杢一枚板の建具(左)。
今回の工事は、社寺建築も手掛けられる、地元 大洲の建設会社にお世話になりました。
社長自ら 毎回現場の定例会議に参加され、工場では板材の仮組みなど 細かく大工さんに指示されていました。
現場監督や多くの職人さんにも助けられ、素晴らしい建物が竣工いたしました。
感謝いたします。